精神科医は、悩める人の話を聴き、その苦しみに共感し、適切な助言を与えてくれる。診察の場面にはホッとするような安心感があり、話が終わったら、いつの間にか前を向けるよう元気になっている。
これは、精神科医の理想的なイメージですね。現実はまるで違います。
近ごろの精神科医は、保険診療による「5分ちょい」という時間制約のなか、正しいことを正しい方法できちんと行うという割り切った診療を行っているのが現状です。質問紙(点数化)、診断基準(チェックリスト化)、ガイドライン(フローチャート式)を使いこなせるようになることが精神科専門医としての基本中の基本となっています。
というわけで、冒頭のような理想像に到達するには、これからの精神科医は、「対話とは何か?」ということについてもっと勉強しなければなりません。
今回の総会シンポジウム1では、司会として、精神科医から「対話」を学ぶならぜひこの人!というお二人、斎藤環さんと佐藤晋爾さんをお呼びしました。
そして、シンポジストとして、精神科医ではない「対話」のスペシャリストのお三人、孫大輔さん、平田オリザさん、横道誠さんをお迎えしました。
僕は、このシンポジウム1によって、さまざまな対話があるのなかで「健康生成的(サルトジェニック)な対話」というものが明らかになるのではないか(明らかにして欲しいな)と思っています。
加えて、近ごろの精神科診療のような「閉じた対話」を改め、メンタルヘルス・サービスにおいて必須となる健康生成的(サルトジェニック)な「開かれた対話」について学び知ることができるのではないかと期待しています。
今からとても楽しみですね!
ぜひ、シンポジウム1のあとの懇親会でも「対話」を続けていきましょう。
(田中伸一郎、2024.12.7)
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